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「あなた」ではなく「わたし」を主語に~アイメッセージ(I-message)の使い方~

わたしは体操教室でも育児の中でも、そして日常のいろいろな場面で、できるだけアイメッセージを意識している。特に子どもと接するとき、アイメッセージは「言い方」以上に、関係を守りながら気持ちや困りごとを伝える方法として、とても大事だと思っている。


1. アイメッセージとは

アイメッセージ(I-message)は、相手を責める形ではなく、「わたしに起きていること」として伝えるコミュニケーション。

代表的な型は、次の3点(または4点)で整理されることが多い。

  • 行動(事実):今起きていること(評価を入れない)

  • 気持ち:わたしがどう感じたか

  • 影響(困りごと):それで何が困ったか・どう影響したか

  • (+お願い:どうしてほしいか、具体的に)

この「行動→影響→気持ち」の構造は、トーマス・ゴードンの枠組みで明確に説明されている。


2. 「それはダメ!」「ちゃんとして!」はユーメッセージになりやすい

「それはダメ!」「ちゃんとして!」は、相手(あなた)を主語にしたり、評価が強くなったりしやすい。結果として、子どもには

  • 責められた

  • 否定されたと受け取られやすい。

そこで、“わたし”を主語にして、自分の意見・気持ちとして伝える。

例)

  • 「(×)ちゃんとして!」 →「(○)わたしは今、危ないから止めてほしい(と思っている)」

  • 「(×)それはダメ!」 →「(○)わたしはそれをされると困る/心配になる」

ただし大事なのは、単に「わたしは」を付けることより、“責めずに、事実と気持ちと影響を言う”こと。たとえば「わたしは、あなたが本当にだらしないと思う」は“わたし”が付いていても、実質は責め言葉になりやすい(アイメッセージの形をしたユーメッセージ)なので注意したい。


3. ユーメッセージだと、子どもは「攻撃された」と感じやすい

子どもは特に、言葉の内容だけでなく「責められた感じ」「恥をかかされた感じ」に敏感。だからこそ、対立を深めずに伝える工夫としてアイメッセージが役立つ。

さらにこれは叱る時だけではなく、ほめる時にも使える。「あなたはいい子だね」「優しい子だね」は悪いわけではないけれど、子どもによっては“ラベル”として受け止めることもある。それより、わたしがどう助かったか/どう嬉しかったかを伝えると、子どもは行動と結果を結びつけて理解しやすい。


4. 導入方法(ネガティブ/ポジティブ)

ネガティブな場面(たたいてきた)

  • 「(行動)叩かれると、(影響)わたしは痛くて、(気持ち)悲しい。だから(お願い)手は使わないで、言葉で教えてほしい。」

ポジティブな場面(お手伝いしてくれた時)

  • 「(行動)〇〇が手伝ってくれて、(影響)わたしはすごく助かった。(気持ち)わたし、とても嬉しいな。」

「あなたは優しい人だね」と“人格ラベル”を貼るより、「わたしは嬉しかった」「わたしは助かった」と伝えることで、相手を評価して動かすのではなく、気持ちを共有するメッセージになる。


5. 強い言葉を使いそうな時こそ「主語」と「型」

強く言いそうな時ほど、まず主語を「わたし」に戻す。その上で、できればこの順番にする:

事実(評価なし)→気持ち→影響→お願い

ただ「主語をつけると柔らかくなる」ことは多い。でも例外もあって、

  • 「わたしは怒ってるんだぞ!」みたいに、主語が“わたし”でも強くなり得る。だからこそ、主語だけでなく、“責めずに事実から言う”のがコツ。


6. これをすれば全部解決、ではない

アイメッセージは「子どもを思い通りに動かす魔法」ではない。むしろ、

  • あなたにはあなたの気持ちや考えがある

  • わたしにはわたしの気持ちや考えがあるという“別々の個”として尊重する土台のメッセージだと思う。

指導者と子どもはもちろんのこと、親子でも考え方が違う部分はある。でも、お互いの思いを(責めずに)伝え合うことで、関係をより良い方向に育てていける。子どもの発達を支えるしつけとして「肯定的なしつけ」「落ち着いた伝え方」「関係を損ねないコミュニケーション」が重要だとされている。



 
 
 

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