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「子どものために怒っている」をやめました ― 指導者として、居場所をつくる大人として ―

私は長い間、「子どものために怒っている」と思ってきた。体操教室のクラスを運営する中で、話を聞かずに動き回る子、ふざけて場の流れを乱す子がいると、どうしても強く叱ってしまうことが多かった。

けれど正直に言えば、私は“その子のため”に怒っていたわけではなかった。クラスの秩序を守るため、自分の指導力を保つため、そして周りから「ちゃんとしたクラスをつくっている」と思われたいという気持ちが強かった。怒りは、私にとって「場を締めるスキル」のひとつだった。

だからこそ、怒り自体をコントロールできているつもりだったし、必要な手段だと思っていた。しかし、現実は違った。怒っても、子どもの行動は変わらなかった。一瞬は止まっても、また同じ行動が始まる。あるいは別のネガティブな行動として表れる。そのたびに私の時間とエネルギーは削られ、クラス全体の空気もどこかピリついていた。

「これは本当に意味があるのだろうか?」そう感じる瞬間が少しずつ増えていった。

怒ることが正しいのか、間違っているのか。正直、今でも明確な答えを私は持っていない。怒らなければいけない場面も、現場には確かにある。ただ、ネガティブな行動の裏にある子どもの気持ちを考えてみると、私の中で少しずつ変化が起きた。

ふざける行動の裏には、退屈や不安が隠れているのかもしれない。座れない行動の奥には、身体が落ち着かない理由があるのかもしれない。できないことを隠すために、わざとふざけて見せているのかもしれない。

「この子はいま、どんな気持ちでいるんだろう?」そう考えると、怒りが湧き上がる前に、一度だけ立ち止まれるようになった。

そして、子どもの気持ちをまず受け取るように意識して関わってみた。すると、子どもたちに驚くほどの変化が起きた。

子どもが素直になった。これまでは私の顔色を読みながら“正解の行動”を探していた子が、「やりたい」「いやだ」「不安だ」といった本音を言い始めた。安心できる場所になると、子どもは自分の気持ちを出せるのだと実感した。

さらに、子ども同士が互いを責めたり、注意し合ったりする空気が消えていった。以前は「ふざけたら怒られる」というルールのもとで、子ども同士もその文化を真似していたのだと思う。でも、大人が怒りに頼らなくなると、子どもは自然と相手の気持ちに目を向け始める。

そして何より大きいのは、子どもが“自分で動く”ようになったことだ。「先生がどう思うか」ではなく、「自分はどうしたいか」「どうすればうまくいくか」を考えて行動する。挑戦が増え、失敗しても自分で立て直す力が育っていくのを感じた。

私は思う。怒りを捨てたのではなく、怒りに頼らなくてもいい関わり方を選べるようになったのだ。

これからも、子どもの気持ちを受け入れる指導者でありたい。そして、この体操教室を

  • 何度失敗しても大丈夫で

  • 安心して自分の気持ちを話せて

  • 大人も子どもも年齢も関係なく関われる

そんな“小さなコミュニティ”にしていきたい。

今の公教育は、どうしてもネガティブな行動をする子が叱られ、ポジティブな行動をする子が褒められる構造が残っている。もちろん学校には良さがある。でも、私は子どもたちに伝えたい。**「学校だけが社会じゃないよ」**と。

体操教室に来れば、自分でいていい。うまい・下手より前に、あなたの“気持ち”を大切にできる。そんな場所がひとつあるだけで、子どもの世界はきっと広がる。

だから私は今日も、怒りではなく気持ちに寄り添いながら、子どもたちと一緒に歩いていきたい。この教室が、子どもたちにとっての“もうひとつの社会”であり続けるように。

 
 
 

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